2014年度

【原状回復&ふるさと】第5回口頭弁論期日

「生業(なりわい)を返せ、地域を返せ!」福島原発原状回復訴訟行進を行いました。

2014年3月25日 13:30~ あぶくま法律事務所

3月25日、春らしい暖かさの中、約200名の原告にお集まりいただき、裁判所まで行進を行いました。
期日の写真は生業弁護団FaccebookにもUPしておりますので、是非ご覧下さい。

「生業(なりわい)を返せ、地域を返せ!」福島原発訴訟の第5回口頭弁論期日が行われました。

2014年3月25日 15:00~17:30 福島地方裁判所

「生業(なりわい)を返せ、地域を返せ!」福島原発訴訟の第5回目の期日(裁判の日)が行われました。
 冒頭に1人の原告の意見陳述(原告や弁護士が訴訟にあたって、被害や意見を述べること)を行いました。その後、国の準備書面に対して弁護士2人が意見陳述を行い、東京電力の準備書面に対して弁護士1人と原告団長中島孝さんが意見陳述を行いました。陳述の内容については、添付のファイル又は第5回模擬法廷の動画を後程UPする予定ですので、ご覧下さい。なお、Ustream中継の録画もございます。
 双方の主張と今後の裁判の進め方について、書面又は口頭で下記のようなやりとりがありました。

  • 国は、準備書面で、「前提となる事実関係・法令の定め及び福島第一発電所の施設概要と事故の状況」「どのように違法性を判断するか、国が津波の発生を予見できなかったこと、国の行った行政上の措置と国に権限を行使しなかったことによる違法はないこと」などを主張しました。
  • 東電は、「今回の事故が天変地異であるので責任がないという主張をしないこと」「放射線の健康影響についての科学的な知見」「原告の原状回復についての請求は却下されるべきこと」を主張しました。
  • 原告は、国に対して原告の主張書面の認否(相手方の主張に対して認める・認めない・知らないなどを明らかにすること)を行うよう求めたところ、国は逐一認否する予定はないと述べました。これに対して裁判所は、原告が書面で認否を求めた点は重要な事実なので、認否を行うよう国に求めました。
  • 原告は、東電に対して、「莫大な費用がかかるので東電が除染できない」という部分を撤回するよう求めたところ、東電は「実現可能か」についての主張であるので撤回しないと述べた。裁判所は、原告にどのような除染を求めるかについて主張を検討するよう求めた。
  • 裁判所は、国及び東京電力に対して「5,6号機も含めた事故の経過」「技術基準省令62号33条4項の要件に適合していたか」「各号機の非常用空冷式ディーゼル発電機の設置及び非設置状況、事故時の稼働状況の違い」「非常用母線について」を明らかにするよう求めた。
  • 裁判所は、国に対して「大臣や委員会などの相互の関係、権限委譲の根拠」「安全委員会の意見について」「発生可能性について知見が十分でない地震を除外することが合理的であるという主張の趣旨」「勉強会での津波に関する認識」「どの程度知見が確立すれば省令に反映できると考えているか」「H18年当時SBO対策が規定されなかった理由と、当時外部電源喪失を想定していなかったのかどうか」「知見の発展に伴う法令と省令の関係」を明らかにするよう求めた。

 今回は、初めての国と東京電力の反論が提出された期日でした。
 国の主張には、認否(相手方の書面に対して認める・認めない・知らないなどを述べること)がありませんでした。原告は、福島第一原発事故が発生した原因や、国がどのような責任を負うかについて詳細に主張しています。認否がなければ、原告と国の間で、どのような主張が争点となっているのかわかりません。わからない以上、適切な反論を行うことができません。裁判所も、少なくとも原告が求釈明(裁判所に対して、相手方に説明するようを求めること)を行った点については明らかにするよう、国に求めています。
 東京電力は、次の重大な2つの主張を行っています。1つめは、「20msv以下であれば健康影響は問題ない」、2つめは、「仮に裁判で除染の義務が認められたとしても、多額の費用がかかり一企業としては負担が重すぎるので、原告の請求は認められない」というものです。加えて、1つめの点については、20msvの放射線量より、運動不足、肥満や野菜不足の方が健康に悪影響であると述べています。また、このような東京電力の態度は、現在再稼働を勧めている各地の原発でもし事故が起こったとしても、20msv以下は補償しない、地域を汚染してもお金がないので除染しないと言っていることを表しています。このような態度は許されてはなりません。原告団、弁護団はこのような東京電力の主張の撤回を求めていきます。
 今回の期日では、裁判所から主に国や東京電力に対して多くの求釈明がありました。その求釈明は、主にこれまで原告が行ってきた主張に則ったものでした。このように、裁判所が真剣に事件に向き合っているのは、多くの原告の方が参加し、毎回期日に裁判所前に集まって訴えているからです。今後とも、多くの方にお集まり頂き、声を上げて頂けますよう、お願い申し上げます。
 次回の裁判は、平成26年5月20日の15時からとなります。国と東京電力の反論が続きますが、弁護団も今回提出された書面に対して再反論を行う予定です。今回の東京電力の準備書面への怒りを胸に、法廷傍聴・模擬法廷など、多くの方のご参加をお待ちしております。


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原告渡部保子意見陳述


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津波の予見可能性に対する意見陳述


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原告団長中島孝意見陳述


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東電の準備書面に対する意見陳述


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国の準備書面に対する意見陳述