2014年度

【原状回復&ふるさと】第6回口頭弁論期日

「生業(なりわい)を返せ、地域を返せ!」福島原発原状回復訴訟デモ行進を行いました。

2014年5月20日 13:30~ あぶくま法律事務所

5月20日、夏の近づく陽気の中、約200名の原告にお集まりいただき、裁判所まで行進を行いました。
期日の写真は生業弁護団FaccebookにもUPしておりますので、是非ご覧下さい。

「生業(なりわい)を返せ、地域を返せ!」福島原発訴訟の第6回口頭弁論期日が行われました。

2014年5月20日 15:00~17:00 福島地方裁判所

「生業(なりわい)を返せ、地域を返せ!」福島原発訴訟の第6回目の期日(裁判の日)が行われました。
 冒頭に1人の原告の意見陳述(原告や弁護士が訴訟にあたって、被害や意見を述べること)を行いました。その後、今回提出した準備書面ついて弁護士2人が意見陳述を行い、被害の関係弁護士2人が意見陳述を行いました。陳述の内容については、添付のファイル又は第6回模擬法廷の動画を後程UPする予定ですので、ご覧下さい。なお、Ustream中継の録画もございます。
 双方の主張と今後の裁判の進め方について、書面又は口頭で下記のようなやりとりがありました。

  • 国は、準備書面で、「原告の訴えが不適法であること」「これまでの認否と求釈明(原告・裁判所からの質問)の回答(の一部)、原子力規制の法体系について、シビアアクシデント対策が法規制の対象となっていなかったこと」などを主張しました。
  • 東電は、「精神的損害の賠償の考え方について」「過失論について」「原告の書面に対する認否と裁判所の求釈明の回答」を主張しました。
  • 原告は、国と東電の責任について「違法性判断の枠組み」「民法と原賠法の関係」、原告らの受けた被害について「原告らに共通する「生命・身体に接続する平穏生活権侵害」」「主として精神医学,心理学の観点からみた原告らの健康不安の合理性について」を主張しました。
  • 裁判所は東電に対して、東電の「中間指針を超える賠償の義務はないから過失の審理は不要である」という主張は「被害者が慰謝料に不服があっても、過失を主張して訴訟を行うことができない」という主張かと尋ね、原告も「原賠審自身が中間指針は最低限の基準と認めているのに、指針が裁判所を拘束するかのような主張は常軌を逸したものである」と主張しました。東電は書面で答えると述べました。
  • 裁判所は原告に対して、「中間指針に基づく慰謝料と今回訴訟で求めている慰謝料は重複する部分があるのか根拠を上げて主張して欲しい」と尋ねました。この点は追って主張する予定です。
  • 原告は国に対して、国は国が電力会社に対して津波高を2倍で評価するよう要請したか明らかにせよという釈明に対して「資料が現存しないので事実を確認できない」と述べているが、「かつてあったけれど今はない」ということかと尋ねたところ、国は「現存しないので過去にあったかどうかもわからない」と述べました。原告はさらに「どのような調査をしたのか」と尋ねましたが、国は「答える必要があるのか」と述べました。裁判所も「どのような調査を行い、現存しないという結果になったのか根拠を示して欲しい」と述べました。原告は東電に対しても、「国からそのような要請があったのか、どう答えたのか」を明らかにするよう求めました。

 今回は、国と東京電力が反論する2回目の期日でした。
 前回、原告と裁判所は、国に対して多くの求釈明を行いましたが、国は求釈明のうち重要部分(シビアアクシデントなど)について、あまり答えていませんでした。中でも、原告と裁判所が問題にした「国の電力会社に対する指示」は国会事故調にも引用されたものですが、国は「資料が見当たらない」という返答に終始しました。質問に対する答えがなければ、原告としても適切な反論が行えません。国は重要な事項についての回答を引き延ばしているのです。
 今回提出された東電の主張は、「中間指針は合理的で相当なので、これを超える賠償は一切する必要がない」というものでした。中間指針は最低限の基準ですし、東電は実際にADRでは中間指針を超える支払もしています。中間指針が裁判所をも拘束するというような主張に対しては、裁判所も東電に真意を明らかにするよう強く求めました。
 今回、国は「資料は見つかりませんでした」、東電は「中間指針を一歩も出ない」と主張しました。前回に引き続き、国と東電の無責任な態度が明らかになりました。加害者が資料を出さない、加害者が自ら被害者の被害額を決めるという態度を許してはなりません。今後とも、多くの方にお集まり頂き、声を上げて頂けますよう、お願い申し上げます。
 次回の裁判は、平成26年7月15日の15時からとなります。最後の国と東京電力の反論の期日です。弁護団も今回提出された書面に対して再反論を行う予定です。今回の東京電力の準備書面への怒りを胸に、法廷傍聴・模擬法廷など、多くの方のご参加をお待ちしております。


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原告らに共通する平穏生活権侵害についての意見陳述


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国の規制権限についての意見陳述


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健康不安が合理的であることの意見陳述


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民法と原賠法の関係についての意見陳述


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今後の被害の立証についての意見陳述