2016年度

第17回検証期日

「生業(なりわい)を返せ、地域を返せ!」福島原発訴訟において浜通りで検証を行いました。

2016年3月17日 浜通り

3月17日、裁判官3名が、浪江町、双葉町、富岡町に入り、検証を行いました。当日は、裁判所関係者10名、被告国・東電が25名、原告らがサポートメンバーも含めて46名、メディアが22名同行しました。
私たちが、初めて検証について意見を述べたのは2014年5月の第5回期日ですので、実に2年近くかけての実現となりました。この間、検証に関係する提出書面は20通を超え、弁護団内部や原告団との会議は優に50回以上、そのほか候補地自治体との協議、メディアとの協議、裁判所との協議も複数回にわたって 行いました。検証対象宅の原告の方との打ち合 わせや、検証ルートの確認、周辺状況の調査な どのための下見の数は数知れず。弁護団として 総力を挙げて取り組み、検証対象宅の原告の方はもちろん、原告団の多大なサポートを得 ての本番というこ からお礼を申し上げます。被害の実態を知ることなくして、判決を書いてもらうわけには いかない——そうした私たちの決意の成果として、今回の検証を獲得することができまし た。
期日の写真は生業弁護団FaccebookにもUPしておりますので、是非ご覧下さい。

浪江町での検証

浪江町では、原発事故前は牛の飼育をしていた佐藤さんのご自宅と畜舎の検証を行いました。
ご自宅が動物の侵入のよって玄関が破損し、部屋の床が抜け落ちでイノシシの寝床等になっている様子、動物によって荒らされたリビング等、事故後に自由に立ち入りができないために補修すらすることができない状況等について検証を行いました。
畜舎では、当時牛を飼っていた畜舎や、大事に飼っていた子牛が震災後に出ることができず餓死したカーフハッチや、畜舎の牛の多くが餓死した現場を検証しました。佐藤さんは原発事故後に死骸をすぐに埋めてやることもできなかったことから、慰霊のために建てた牛魂碑や、立ち入りができなかったために樹木がしげりすっかり様子が変わってしまった畜舎の様子を検証しました。

双葉町での検証

双葉町では、原告の福田さんのご自宅の検証を行いました。福田さんのご自宅のある浪江町では、立ち入りに通行の許可が必要です。誰もいない町を歩いて福田さん宅に到着しました。
福田さんは、自ら造園について学びながらこだわりの庭を整備されていましたが、原発事故による避難や立ち入り禁止によって、動物が入り、樹木が伸び、手入れされた庭が荒れ放題になっている様子を検証しました。福田さんの自宅でもネズミ等の動物が入り込んで巣を作り、獣臭いにおいが充満している様子を検証しました。

富岡町での検証


富岡町では、原告の生活圏に強制避難区域と居住制限区域が混在している様子を検証しました。原発事故後、立派な自宅が獣が入って荒れ果て、第三者が侵入して着物が盗まれていること等を検証しました。原告が大事にしていた仕事場や大切にしていた庭や畑が荒れ果て、原発事故後補修ができなかったことから廊下が損傷して通行できなくなっていることなどを検証しました。

5月17日(火)に福島地方裁判所にて第18回期日が行われます。法廷では6名の原告本人尋問を行い、法廷外でも沖縄4区選出の仲里利信衆議院議員の講演会や、おしどりマコ&ケンさんによる原告団企画が予定されています。裁判所に声を届けるためにも、多くの方のご参加をお待ちしております。