原告団・弁護団の活動

福島県知事選挙候補者に対する公開質問状

福島県知事選挙候補者に対する公開質問状を送付しました。


ファイルイメージ

公開質問状

2018年10月10日、県知事選挙の告示日にあわせ、原告団は各候補者に対し、公開質問状を送付し、各候補者から回答を頂きましたので、公開いたします(五十音順)。
各候補者の回答について、編集や加工は加えていません。
なお、金山候補及び高橋候補からは回答がありませんでした。

1.昨年10月10日、福島地裁において、「生業を返せ、地域を返せ!」福島原発訴訟の判決が出されましたが、判決内容について、どのように評価されていますでしょうか。

〇内堀候補:
 司法の判断についてのコメントは差し控えさせていただきます。
 国及び東京電力は、今後の廃炉の取り組みについて、あらゆるリスクを想定し、福島県民の安全・安心を最優先にして確実に進めるよう、引き続き求めていきます。
 また、原子力損害賠償については、被害の実態に見合った十分な賠償が的確・迅速になされるよう訴えてまいります。
〇金山候補:
 回答がありませんでした。
〇高橋候補:
 回答がありませんでした。
〇町田候補:
 福島地裁判決のもっとも大きな点は、国の責任を認めたことです。判決では、津波は想定外ではなく予見できたこと、対策をとっていれば事故を回避することができたこと、よって対策を怠ったことは違法と断罪しました。これは大変貴重な判断だと思います。また、原発の安全性より経済的利益を優先させる国と東京電力の姿勢に警鐘を鳴らしました。さらに、被害救済の範囲・水準が国が定めた指針のレベルでは足りないとの指摘も、これからのたたかいにとって重要な成果だと思います。

2.昨年10月10日に出された判決では、国と東京電力に福島第一原発事故に対する法的責任があるとの判断が示されました。
  知事となった場合、この判決と同様、国と東京電力に法的責任があるとの立場を明確にするお考えはありますでしょうか。

〇内堀候補:
 国及び東京電力においては、原子力発電所事故の原因者としての自覚を持ち、県民の悩み、苦しみ、不安などの思いを真摯に受け止め、福島の復興再生に対して責任を持って対応を進めるよう求めていきます。
〇金山候補:
 回答がありませんでした。
〇高橋候補:
 回答がありませんでした。
〇町田候補:
 私が知事になったら、国と東京電力の法的責任があるとの立場から、福島地裁の判決内容がいきる県政をすすめます。

3.昨年10月10日に出された判決では、中間指針など国の指針では賠償が不十分であるとの判断が示されました。この判決は県内150万人以上に影響が及ぶものですが、知事となった場合、国と東京電力に賠償枠組みの見直しを要求するお考えはありますでしょうか。

〇内堀候補:
 原子力損害賠償については、これまで、原子力損害賠償紛争審査会に対し、本県の現状をしっかりと把握し、指針の適時適切な見直しを行うよう求めてきており、引き続き、被害の実態に見合った十分な賠償がなされるよう訴えてまいります。
〇金山候補:
 回答がありませんでした。
〇高橋候補:
 回答がありませんでした。
〇町田候補:
 県の損害賠償対策協議会の会長として、すぐにでも全体会議を開き、国と東京電力に対し、判決が指摘している被害救済の指針見直し、賠償の打ち切りをやめ被害ある限り賠償に応じるよう「オール福島」の立場で求めていきます。

4.福島第二原発廃炉に向けた詳細な工程表を示すよう東京電力に求めるお考えはありますでしょうか。

〇内堀候補:
 2011年3月の東京電力福島第一原発の事故以降、福島第二原発を含む県内原発の全基廃炉という県民の強い思いを、国及び東京電力に対し幾度も訴え、今年の6月に、東京電力の社長から、福島第二原発の廃炉についての方向性が明確に示されました。
 今後は、福島第二原発の廃炉を正式に判断、決定し、安全・着実に廃炉作業を進めるよう、国及び東京電力に対し求めていきます。
〇金山候補:
 回答がありませんでした。
〇高橋候補:
 回答がありませんでした。
〇町田候補:
 福島第二原発を含む県内全基廃炉は、すべての県民の願いであり復興の大前提です。東京電力はすぐにも「廃炉宣言」を行い、廃炉に向けた工程表を県民に示すよう求めていきます。

5.トリチウムを含む汚染水の海洋放出について、どのようにお考えでしょうか。知事となった場合、これを推進する立場なのか、反対する立場なのか、お考えを教えてください。

〇内堀候補:
 トリチウムを含んだ水の取扱いについては、これまでも国や東京電力に対し、環境や風評への社会的影響などを国民や県民に丁寧に説明しながら議論を進めることを求めてきております。今年8月末に開催された公聴会でも、様々な意見が出されたことから、国及び東京電力に対し、こうした意見を踏まえながら議論を尽くし、慎重に検討を進めるよう引き続き求めていきます。
〇金山候補:
 回答がありませんでした。
〇高橋候補:
 回答がありませんでした。
〇町田候補:
 トリチウムを含む汚染水の海洋放出には、断固反対です。公聴会でも、最も影響を受ける漁業者をはじめ多くの県民は反対です。汚染水はタンクでの保管を継続し、住民合意のない海洋放出は行うべきではありません。さらに東京電力は、最近になってタンクに保管されている汚染水の8割に基準値越えの放射性物質が含まれていることを明らかにしました。東京電力のデータ隠ぺいに断固抗議するものです。これでは県民の信頼は得られません。

6.リアルタイム線量測定システムの配置継続を国に求めるお考えはありますでしょうか。

〇内堀候補:
 環境放射線のモニタリングは、福島県の復興再生を進めていくうえで、県民の安全・安心を確保するための基礎となる重要な取組です。
 リアルタイム線量測定システムの配置見直しについては、地元市町村や県民の意向を十分に踏まえ、地域の実情を十分に考慮した柔軟な対応を国へ強く求めていきます。
〇金山候補:
 回答がありませんでした。
〇高橋候補:
 回答がありませんでした。
〇町田候補:
 配置の継続を国に求めます。県内各地で公聴会が開かれていますが、継続を求める声が大半です。仮置き場にはまだ除染土壌があり、廃炉作業が本格化するのもこれからです。作業中、どんな事故やトラブルがおこるのか予測できません。放射能汚染の実相を可視化できるモニタリングポストは安心な暮らしに欠かせません。国は一方的な撤去はおこなわず、まずは県民の声をよく聞くべきです。

7.環境省が計画している除去土壌と放射性物質汚染廃棄物の再利用計画と、それに基づく実証実験について、どのようにお考えでしょうか。知事となった場合、再利用計画や実証実験を推進する立場なのか、反対する立場なのか、お考えを教えてください。

〇内堀候補:
 国においては、除去土壌等の30年以内の県外最終処分に向けてしっかりと取り組むことが一番の基本です。
 除去土壌等の再生利用実証事業については、安全性の確保はもとより、地元を始め、社会的な理解が極めて重要であり、国に丁寧な対応をもとめていきます。
〇金山候補:
 回答がありませんでした。
〇高橋候補:
 回答がありませんでした。
〇町田候補:
 除去土壌や放射性物質汚染廃棄物の再利用計画とそれにもとづく実証実験には、反対です。たとえ、国が定めたレベル以下の除去時土壌や放射性物質汚染廃棄物であっても中間貯蔵施設に搬入すべきです。環境省は昨年、二本松市原セ地区で実証実験を計画しましたが、地元住民の反対で事実上撤回に追い込まれました。こうした実証実験は、放射能汚染に不安を抱える県民の合意を得ることはできません。

8.福島の10基全ての廃炉作業が本格化するにあたり、原発の廃炉には「放射能の新たな大量放出に伴う県民の被ばく」が懸念されます。知事となった場合、県民に向けた注意喚起をするお考えはありますでしょうか。

〇内堀候補:
 東京電力には、廃炉作業において、万が一にも放射性物質を飛散させることがないよう、あらゆるリスクを想定して万全の態勢をとり、安全・安心を最優先に作業を進めるよう求めていきます。
 また、発電所周辺に設置しているモニタリングポストなどで常時監視するとともに、現地駐在職員や廃炉安全監視協議会等により、作業状況などを確認していきます。
〇金山候補:
 回答がありませんでした。
〇高橋候補:
 回答がありませんでした。
〇町田候補:
 いぜん、南相馬市の水田で試験栽培したコメから基準値を超える高線量の放射能が測定されたことがありました。その原因については、国と東京電力は認めていませんが、事故を起こした原子炉のガレキ撤去に伴う粉じんではないかと言われています。こうしたあらたな汚染は絶対に起こしてはなりません。廃炉作業の本格化に向けて、県民が被ばくしないよう、国と東京電力には万全の対策を行うよう求めます。そして県民には注意喚起を行うとともに、放射線量測定機器の配備など万全な対策を講じます。