原告団・弁護団の活動

第41回全国公害被害者総行動デーに参加しました。

国・東電交渉・総決起集会

1.国・東電交渉・総決起集会 2015/6/1

 「生業を返せ、地域を返せ!」福島原発事故被害弁護団は、第41回全国公害被害者総行動デーに参加しました。
 12時からデモ行進を行ない、1時半から衆議院議員会館で国・東電の担当者と交渉を行ないました。
 生業訴訟の多くの原告の方を含めて、200名を超える参加者が交渉に臨みました。国の避難区域解除と住宅支援の打ち切りが相まって、住民が自らの意思によらず、健康に不安があっても帰還せざるを得ないような状況に追い立てられていること、除染が不十分であること等を訴えました。
 18時からは日比谷公会堂ニッショーホールで全国公害被害者の総決起集会を行ないました。福島第一原発の被害者以外にも、アスベスト被害者、大気汚染被害者等、約1000人の公害被害者が参加しました。
 この他、環境大臣交渉では、丸川大臣は就任直後問題となった1mSv発言について謝罪をしました。

全国公害被害者総行動デーについて
全国公害被害者総行動デーは環境週間にあわせて毎年行なわれるイベントで、全国各地の公害被害者が東京に集結して親交を深め、国や各省庁、経済界(公害加害企業)等と交渉を行ない、被害者の救済と公害の断絶を求めます。

2.団長発言

衆議院議員会館における国・東電交渉において、中島孝原告団長が全体を代表して冒頭の発言を行いました。

生業訴訟原告団長の中島です。
昨年6月の閣議決定以降、次々に具体化された、避難指示区域の解除、損害賠償打ち切り、住宅支援打ち切りの方針は、原発再稼働を実現するための、強固な意思に裏付けられた3点セットであることが、この間の流れから明らかになっています。
年間線量20ミリシーベルトという根も葉もない数字を持ち出して、もはや被害はない、我慢しろ、というのは、福島のみならず全ての被害者、全ての人々の健康・命の切り捨て宣言です。これは、二度と原発事故を起こしてはならないという問題意識も、そのためにも先ずは被害の救済をという責任者意識にも蓋をしたものであって、許しがたい無反省、無責任の有様です。
このような政府や電力会社のもとで、原発が再び事故を起こすに至っても、「福島を見よ、じっとおとなしく我慢しているではないか」と、都合のよい先例として福島が利用され、切り捨てられることは明らかです。
避難を続けている方がた、農家、漁業者、製造・流通業者、広範な市民とも、困難は解消するどころか、時間の経過に伴って益々深刻になっているのに、住宅支援を打ち切り、営業損害を打ち切り、そしてまわり中、山だらけの地域に子供まで帰還させて生活をさせようとする。私たちは、こうした無反省、無責任に対して改めて強く抗議をしたいと思います。
ここで、更に落胆と同時に怒りを禁じえないのは、熊本地震という深刻な災害に直面してもなお、川内原発を止めないという電力会社と政府の姿勢です。
想定外の地震、津波による福島第一原発の事故であったというのが、国と東電の変わらぬ言い分ですが、熊本地震は、想定外を想定する必要を疑問の余地なく示しているのではないですか?福島の事故の実態を曇りない眼で直視すれば、何を置いても安全対策、住民の命と健康を最優先するのが、国の責務であるはずです。
突然20ミリシーベルト基準を持ち出して、原発被害の終息、幕引きを図り、被害を矮小化して、責任を免れようとの意図があるとすれば、原発事故の再発とその被害者の切り捨ては、すべての国民にとっての恐ろしい近未来ということになります。現下の全国各地での再稼働反対運動は、この政治状況を見通したものであります。
 この公害総行動でのやり取りを、単に被害者の無理な要求と捉えるのは大きな誤りです。被害者の声を真摯に受け止めるなかにこそ、混沌を極める社会・政治状況を打開する糸口があることを、しっかり把握して要請に臨んでいただきますよう、心からお願い申し上げ、冒頭のあいさつと致します。