原告団・弁護団の活動

ADR自死案件和解成立

ADR自死案件和解成立

2013/7

原子力損害賠償紛争解決センターの和解仲介手続き(いわゆる、原発ADR)において、原発事故により自死された須賀川市の農家のTさんご遺族と東京電力との間で和解が成立しました。Tさんは長年質のよい野菜を育てることに尽力され、原発についても強い関心を寄せて恐ろしさを訴えていました。
 自死案件について、東京電力が責任を認めたのは本件が初めてです。Tさんご遺族と弁護団は、東京電力に対して謝罪をすることなど何らかの誠意ある対応を求めましたが、東京電力は代理人名で「和解案を受託すること、及び、これに基づく賠償を速やかに行うことにより、被申立人としての気持ちをお伝えしたい(略)被申立人として、本件事故により、大変なご迷惑とご心配をおかけしておりますことを、改めて心よりお詫び申し上げる(略)」とする文書を送付するのみで、謝罪などについては拒否しています。
 こうした東京電力の姿勢は、金を払えばそれで解決だとするものであり、原子力損害賠償法で無過失責任(過失がなくてもお金を払うこと)が定められているから賠償は行う(お金は払う)ものの、責任を本当に自覚しているとは到底ないと言えない不当な態度です。人が一人亡くなっているにもかかわらず、東京電力は「迷惑と心配をかけた」程度にしか考えていないのです。
 記者会見(6月5日)でご遺族が怒りを語り、翌日の全国公害被害者総行動の対政府・東電交渉では「『たいへんご心配とご迷惑をおかけしました』ってなんだ?責任を認めたのに、なぜ、会社として謝罪しないんだ。母ちゃんと二人でロープにぶら下がった親父を下ろしたんだ。農作業中でも、このことが一日も頭からはなれない。」と東京電力を追及しましたが、東京電力はあくまでもTさんの自死に対する謝罪を拒否しました。
 Tさんのご遺族は原状回復訴訟の原告にもなっています。私たちは、東京電力に加害責任(責任があること)を認めさせ、心からの謝罪を勝ち取るため、遺族とともに戦っていきます。