意義

ふるさと喪失訴訟の目的

【訴訟の目的】

 福島第一原発事故は、大量の放射性物質を飛散させ、その結果、福島県及びその近隣県の住民を放射線による健康被害の恐怖に陥れ、豊かで平穏な生活や人間関係を破壊する被害をもたらしました。原発事故から2年間を経過した現在でも、15万人以上の住民が避難生活を余儀なくされています。被害は長期間継続し、先の見えない苦しみが続いています。いわば、避難者は「生殺し」の状態に置かれているのです。

 こうした被害を一言で表現するとすれば、「『ふるさと』の喪失」と言うしかありません。そして、本来、これに対する救済は、元の居住地から放射性物質を取り除き、生活インフラや生業の場を復活させるなど、人々が、その「ふるさと」において安心して元の生活を取り戻すことができるように原状回復をすることしかありません。しかし、現在もその見通しはありませんし、可能であるとしても、それまでには10年以上の単位での長期間を要することとなります。そうである以上、せめて新たな居住地において、新たな生活基盤を築くに足りる賠償を求めることは、当然の権利といえます。

 本件訴訟では、「『ふるさと』喪失慰謝料」及び居住用不動産(住んでいた土地建物)についての新たな居住地で同等の不動産を取得するに足りる損害賠償を求めていきます。

【請求の内容】

「ふるさと喪失慰謝料」

 被害者は、原発事故までに形成してきた人間関係を失い、それまで自己の人格を育んできた自然環境・文化環境を失いました。「ふるさと」を失うことは回復不能な損害です。
 このことに対する慰謝料として、1人あたり2000万円を請求します。

「居住用不動産(土地・建物)の再取得価格での賠償」

 被害者がそれぞれ避難先で、生活基盤を回復できるだけの再取得価額(新しく住む土地・建物を取得できる価格)の賠償がされなければなりません。共通する最低限の損害として、居住用不動産の全国平均額(土地 1368万8000円 建物 2238万0000円)を請求します。
(※失った居住用不動産の評価額がこの価額を超える場合には、上乗せで請求します。)
( ※東電基準の賠償を受けた方、あるいは、受ける予定の方も原告となることができます。その場合は全国平均額との差額を請求します。)