意義

原状回復訴訟の目的

 私たちの目的は、原発事故の被害にあったすべての方が、原発事故が起こる前ではなく、原発ができる前の原発におびえることのない生活を取り戻すこと、そのための制度を作ることです。また、国は国策として原発を推進してきました。原発を1基作るためには国の厳しい認可が必要ですし、運営するためには国が厳しい基準のもとでしっかり監督しなければならない定めになっています。ですから、私たちは直接原発事故を起こした東電に加え、原発事業を推進し監督してきた国にも、しっかりとした被害回復・賠償への制度作りを求めていきます。

 私達はこれまで、福島県内を中心に、東電福島原発事故の被害と賠償について相談会を積み重ねてきました。そこで直面したのは、原発事故と放射能によって、生業(なりわい)、住まいと家庭生活、地域のつながり、安全な環境の全てを奪われた方々の、言葉に尽くせない苦痛と怒りです。そして、原発事故は未だ収束せず、被害は拡大し続けています。
 「生業(なりわい)を返せ!地域を返せ!」これが、多くの被害者の方々の共通する願いであり、当然の要求であることを、私達は確信しています。被害者の方々の願いに応えるため、法律家として全力を尽くす決意のもと、弁護団を結成しました。

 今回の原発事故は、東電と国の招いた未曾有の公害であり、これら加害者の責任のもと、被害の完全な回復が図られるべきです。弁護団は、加害者である東電が勝手に作った「基準」や請求書にも、完全賠償の観点を欠いた紛争審査会の中間指針にも、一切縛られることなく、委任を受けた被害者の方々の完全賠償を目指し、たたかいます。
 被害の完全賠償の実現のためには、被害者の立場に立つ専門家の協力・共同が不可欠です。弁護団は、税理士等他の専門家の方々とも力を合わせ、被害者の方々の要求に、全面的に応えてゆきます。
 被害の回復は金銭賠償だけでは実現しません。弁護団は、心ある研究者の方々とも連携しつつ、放射線汚染の除染やその費用負担、地域コミュニティや環境の再生、子供達をはじめ被害者方々の将来の健康を守るためのあらゆる措置を、東電と国に対して求めます。

 原発事故に遭われた皆さん、奪われた生業と地域を取り戻そうではありませんか!それは皆さん方の当然の権利なのです。