原告団関係

 「生業を返せ、地域を返せ!」福島原発訴訟原告団・要求項目

要求項目1P目

要求項目2P目


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私たちが求めるもの、私たちが目指すもの 「生業を返せ、地域を返せ!」福島原発訴訟原告団・要求項目

私たちが求めるもの、私たちが目指すもの
~ 「生業を返せ、地域を返せ!」福島原発訴訟原告団・要求項目 ~
                       2013年3月3日 採択
 2011年3月11日、私たちの暮らしは一変しました。
 それまでの生活・コミュニティは根こそぎ奪われ、価値観は大きく揺らぎました。
 農家は、先祖代々にわたって耕してきた土壌を汚染され、
 漁民は、豊かな漁場を奪われ、
 若いお母さん・お父さんは、子供たちと一緒に避難するのか、子供たちへの健康不安を抱えながらとどまるのか悩み・・・・・・
 あの事故から2年。今もなお、原発事故は終わっていません。
 みんなの願いは、ただ一つ――――「もとの暮らしにもどりたい」。
 避難した人・しなかった人
  強制的に避難させられた人・避難したくてもできなかった人
  東電から「補償金」を払うとされた人・そうでない人
  いろいろな形であらわれるさまざまな被害
 ・・・・・・いろいろな事象によって、被害者に分断が生じました。
 いま、私たちは、こうした分断を乗り越えて、一致団結して、国と東京電力に対して、その責任を明らかにしようと立ち向かうことを決断しました。
 そして、私たちは、被害者救済のため、被害回復のため、自ら声を挙げることを決心しました。
 私たちは、自分たちのため、将来の世代のため、立ち上がりました。
 私たちが求めるもの、私たちが目指すもの・・・・・・

1.責任
○国及び東京電力は、本件事故を「人災」と認め、本件事故についての加害責任を認めること
○国は、原発政策の誤りを認め、歴代の政府首脳、原子力安全委員会、保安院等政府機関の責任を明確にすること○国は、原発依存のエネルギー政策を改めること
○国は、人々の生命や健康よりも企業の経済活動を優先させる産業政策を改めること
○東京電力は、歴代役員の責任を明確にし、人々の生命や健康よりも営利を優先する企業態度を改めること

2.原発関係
○国は、あらゆる原発を廃炉にすることを明らかにすること
○国及び東京電力は、福島県内の10基の原発を直ちに廃炉とすること
○国及び東京電力は、廃炉までの工程表を明確にすること
○国及び東京電力は、福島第一原子力発電所の現状を正確に開示すること

3.環境汚染対策
[責任]
○国及び東京電力は、除染など環境回復について主体的な責任を負い、速やかな環境回復のため自ら具体的な対策を講じること

[情報開示]
○国及び東京電力は、放射能汚染地域について、すべての放射性物質に関する詳細な汚染データの収集と住民に対する開示システムを確立すること

[住民参加]
○国は、除染等の実施方針につき、住民の意思を反映させる方策を確保すること

[検査体制]
○国は、住民自らが食品等の安全を確認するため、食品等の放射線量を計測できる機器を小学校区単位で設置し、無料で利用することのできる検査体制を速やかに確立すること

[管理体制]
○国は、除染により除去された土壌等の処理に関し、その搬出・保管・最終処分に至るまでの全ての過程について、自らの責任において行うことを明確にし、かつ、実施すること。特に、仮保管場所・中間貯蔵施設の設置について、自らの責任において実施すること
○国は、放射能廃棄物の処理、貯蔵、管理等について、作業従事者や住民等の被ばくを回避するための体制を確立すること

4.賠償
[指針の見直し]
○国及び東京電力は、一方的な線引きをやめ、被害の実態に応じて、すべての被害に対して賠償すること

[慰謝料]
○国及び東京電力は、原状回復されるまでの間、精神的苦痛に対して賠償すること
○国及び東京電力は、帰還困難者について、ふるさと喪失に伴う精神的苦痛に対して賠償すること

[医療費等]
○国及び東京電力は、内部被ばくの健診を含む医療サービスが無償で実施されるまでの間、医療サービスに係る費用を負担すること

[除染費用]
○国及び東京電力は、個人が実施した除染に係る費用を負担すること

[避難費用]
○国及び東京電力は、「避難指示区域」の内外を問わず、避難費用を負担すること

[追加支出]
○国及び東京電力は、本件事故に伴い追加的に支出せざるを得なくなった支出について負担すること
○国及び東京電力は、避難元と避難先の往復・移動に係る費用を負担すること
○国及び東京電力は、通勤可能な避難先から就業地までの通勤にかかる費用を負担すること

[財物]
○国及び東京電力は、不動産及び動産について、被害の実態に応じて賠償すること

[賠償金に対する課税]
○国は、本件事故に伴うすべての賠償金に対して課税しないこと

[時効]
○国及び東京電力は、本件事故に関する賠償請求について、時効を援用しないこと

5.医療・健康管理
[健診・治療・医療機関]
○国及び東京電力は、内部被ばくの健診を含む医療サービスを無償で実施すること
○国は、避難者の避難先におけるホールボディカウンターの拡充、整備を速やかに行うこと
○国は、定期的な尿検査を速やかに実施すること
○国は、被ばくに対応できる拠点的な医療機関の設置、拡充を行うこと
○国は、継続的な健康調査を実施すること。国は、調査方法を公表するとともに、住民の意思が反映できる方法で調査方法を検証し、改善に尽くすこと

[子ども・妊婦に対する施策]
○国は、子どもが放射性物質を心配しないで遊べる環境・施設づくりを行うこと
○国は、子どもが汚染地域を一定期間離れて過ごせる体制を確立すること
○国は、妊婦が心身とも安心して出産に備えるための特別な支援づくり、総合的な支援体制を確立すること

6.生活再建
[住宅関係]
○国は、避難者に対する借り上げ住宅の提供等の生活支援策を、期限を設けることなく実施すること
○国は、借り上げ住宅につき、合理的な理由がある場合には住み替えを認めること
○国は、避難者の所在地域における除雪を行うこと

[地域振興関係]
○国は、再生可能エネルギーへの支援など、地域経済の再生と雇用を支援すること
○国は、とくに避難者や休業中の被害者に対する就労支援として、再生可能エネルギーに関する新たな産業育成などを含む、転職支援や職業訓練、休業期間中の所得補償など様々な施策を実施すること

[その他]
○国は、避難者に対する高速道路の無料化を実施すること

7.教育・啓発
○国は、放射能汚染から生活と健康を守るため、放射線や放射性物質に関する学校教育、社会人教育の実施とその支援を行うこと
○国は、内部被ばく、外部被ばくの克服のため、食材の調理法、栄養学、運動と生活習慣の改善等を通じての健康維持を重視し、そのための学校教育、社会人教育の実施とその支援を行うこと

8.施策の監督・住民参加     
○国は、被害者支援などの施策の適切性を確保するため、チェック機能を有する機関を国会内に設置すること
○国は、廃炉や被害者支援の施策の具体化のため、タウンミーティングなどを実施し、被害者の声を広く施策に反映させること